贈与と法律

贈与税がかからない場合とは(贈与税の非課税財産)

投稿日:2019年8月19日 更新日:

贈与税とは、個人から財産をもらったときにかかる税金をいいます。

ただし、個人から財産をもらった場合には必ず贈与税が課税されるというわけではありません。例えば家族から生活費の援助を受けた場合や結婚式やお葬式などでもらった祝い金やお香典など、これらに対しても贈与税を払わなければならないとなれば人々の社会生活に大きな支障きたすことになりかねません。

そこでこのような事情に配慮するため、次のような場合については贈与税を課税しないことになっており、このような財産を贈与税の非課税財産といいます。

贈与税は課税されない(非課税財産)の例
1.法人からの贈与により取得した財産(法人からの贈与は所得税の課税対象となります)
2.親や子などの扶養義務者から受け取った生活費や教育費(通常必要と認められるものに限ります)
3.宗教や慈善事業など公益目的とする事業を行う者が取得した財産で、その公益を目的とする事業に使われることが確実なもの
4.特定公益信託から交付される奨学金など一定の要件に当てはまるもの
5.心身に障がいのある方などが心身障害者共済制度に基づいて支給される給付金を受ける権利
6.公職選挙法の適用を受ける選挙における候補者が選挙運動に関し取得した財産で、公職選挙法の規定による報告がなされたもの
7.特定障害者扶養信託契約に基づく信託受益権
8.香典や祝い金・見舞金などで、社会通念上相当と認められるもの
9.直系尊属から贈与を受けた住宅取得等資金のうち一定の要件を満たすもの
10.直系尊属から一括贈与を受けた教育資金のうち一定の要件を満たすもの
11.直系尊属から一括贈与を受けた結婚・子育て資金のうち一定の要件を満たすもの
12.相続があった年に被相続人から贈与により取得した財産(相続税の課税対象となります)
13.離別時において受けた財産分与(諸般の事情を考慮しても多すぎる場合には過大となった部分については贈与税が課税されます)

※ 2の生活費や教育費については、生活費などの名目で受け取ったものであったとしてもその金銭などを預金したり株式などの買入資金に充てている場合には贈与税が課税されます。

例題解説

以下の設問に正か誤を答えなさい。

個人が法人から受けた贈与については贈与税は課税されませんが、個人から受けた贈与については贈与税が課税されることになるため学生が親から受けた仕送りについても当然に贈与税の課税対象となる。

(解説・解答)
個人が個人から受けた贈与については贈与税の課税対象となりますが、夫婦や親子など扶養義務者から生活費や教育費に充てるために受けた財産で、通常必要と認められるものについては贈与税の課税対象とはなりません。

解答:誤

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