不動産に対する権利については、所有権や賃借権、あるいは地上権など様々な権利がありますが、これらの権利は法律上は物権と債権とに大別することができます。
物権(ぶっけん)とは、物に対する直接的な支配権をいいます。物権の代表的なものとして所有権がありますが、物の所有者(所有権者)はその物を自由に使用することも処分することもできます。
これに対し債権(さいけん)とは、人に対する請求権をいいます。債権の代表的なものとして賃借権がありますが、たとえば土地の賃借人(借主)は貸主に対してその土地を借主が利用できるように請求することができます(所有者の許可なしに勝手に処分することなどはできません)。
なお、物権と債権の代表的なものをあげるとつぎのようになります。
物権 | 所有権・地上権・質権・抵当権など |
債権 | 賃借権など |
物権は物に対する直接的な支配権であるのに対し、債権は特定の人に対する請求権に過ぎないため、一般に物権と債権とが相反する場合には物権が優先されます。
ただし、不動産の賃貸借については、一般的に立場の弱い不動産賃借人の保護する観点から賃借人に特別に強い地位が与えられている場合があります(借地借家法第31条参照)。