贈与と法律

親族(法律上の親戚)の範囲の数え方

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親戚という言葉を聞いてどのような方を思いうかべるでしょうか?
親や子、祖父母や孫や兄弟姉妹、伯父伯母やいとこや甥や姪など様々だと思います。

親戚の範囲は人によって様々であると考えるのが一般的だと思いますが、親戚(法律上は親族といいます)には法律上さまざまな権利や義務などが生じる可能性があるため、不公平な扱いなどが生じないように一律に一定の範囲を定めその範囲内の者を親族と規定しています。

親族の範囲を定める規定は民法にあり、民法726条には親族の範囲について次のように規定されております。

次に掲げる者は、親族とする。

1.六親等内の血族
2.配偶者
3.三親等内の姻族

血族と姻族、親等について

上記でいう血族とは血のつながりのあるものを言います。親や子兄弟姉妹や祖父母伯父伯母(叔父叔母)や甥姪いとこはとこなどは同じ祖先をもつ血のつながりのあるものを言いますので血族となります。

配偶者とは婚姻関係にあるものをいい、夫や妻がこれにあたります。

姻族とは配偶者の血族や血族の配偶者などをいいます。一般に「義理の親(妻や夫の親)」「義理の兄弟姉妹(兄の妻や妹の夫など)」「義理の伯父伯母(伯父の妻や伯母の夫)」など義理の○○と呼ばれる人がこれにあたります。

血族 血のつながりのあるもの(祖先を同じくするもの)
配偶者 夫や妻など婚姻関係にあるもの
姻族 配偶者の血族にあるものや血族にあるものの配偶者など(義理の親や兄弟など)

いっぽう、親等とは本人との近さを表しています。
ここで家系図を思いうかべてください。そして家系図に自分を中心に親や子、祖父母や兄弟姉妹などを記入していってください

自分からスタートして親は1コマ目にいますので、一親等といいます。子も1コマ目にいますので一親等です。
では祖父母はどうでしょう。自分→親→祖父母と2コマ目にいますので祖父母は二親等です。兄弟姉妹も自分→親→兄弟姉妹と2コマ目にいますので二親等となります。
伯父伯母(叔父叔母)は自分→親→祖父母→叔父叔母(叔父叔母)と自分から3コマ目にいますので三親等です。
親等は前に付く数字が小さいほどより近い(近親)の親族となります。

なお血族は六親等までが親族となりますが、六親等とははとこにあたります(いとこは四親等でいとこの子ども同士ですので六親等です)。

また姻族についても同様に考えますがこの際に配偶者(妻または夫)に関しては自分と同じ(0親等)として数えていくことがポイントとなります。
配偶者の親(いわゆる義理の父母)は配偶者から数えて1コマ目となりますので姻族一親等、配偶者の兄弟姉妹は配偶者から数えて2コマ目にいますので姻族二親等となります。
またこの図にはございませんが、自分の兄弟姉妹(血族二親等)の配偶者は兄弟姉妹と同じと考えますので姻族二親等となります。

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