退職所得とは、お勤め先や会社などからもらう退職金(退職手当・退職一時金など)から得られた所得をいいます。
退職所得:退職手当や退職一時金などから得られる所得 |
退職所得には、勤め先などからもらう退職手当などのほか、社会保険制度などにより退職に基因して支給される一時金、適格退職年金契約に基づいて生命保険会社又は信託会社から受ける退職一時金なども含まれます。
ただし退職を起因として受け取るものであったとしても年金の形式で受け取るものについては退職所得には含まれません。所得税の計算において、退職所得とはあくまでも一時金の形式で受け取る所得をいいます。
退職金などは、老後の生活や失業中の生活を支える大切な資金となりますので、退職所得に対する税金の計算には納税者に特別の配慮がなされています。
退職所得は他の所得と区分し(所得税の税率は所得が高くなるほど税率自体が上がっていくため、他の所得と合算するより区分して別に計算したほうが税率は低くなります)、また勤続年数などに応じて特別の控除(退職所得控除)を収入から減額することができます
退職所得の金額=(収入金額-退職所得控除額)× 1/2
なお退職所得控除額は以下の算式により算出します。 勤続年数が20年以下の場合:40万円×勤続年数(最低80万円) |
上記算式の勤続年数については、1年未満の端数がある場合は切り上げて算定します(たとえば勤続年数9年5か月の場合は10年として算定します)
なお、役員等勤続年数(法人の役員や議員・公務員などの勤続年数)が5年以下である人が受け取った退職一時金については、上記算式の1/2を乗じることは行いません。
(参考にした情報)国税庁ホームページ「No.1420 退職金を受け取ったとき(退職所得)https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1420.htm」
例題解説
(問題)
勤続年数が12年6か月のAさんが受け取った退職一時金1,000万円について、退職所得の金額を算定しなさい。
(解説・計算過程)
まずは退職所得控除から算定します。勤続年数については1年未満の端数は切り上げとなりますので
12年6か月は13年として計算することになります。
次に退職所得控除を算定します。Aさんの勤続年数は20年以下となりますので上記の算式より退職所得控除を算定すると次のようになります。
40万円×13年=520万円
最後に退職所得を求めます。Aさんは役員等勤続年数が5年以下という条件には当てはまりませんので、上記の算式より退職所得を算定すると次のようになります。
(1,000万円-520万円)× 1/2 =240万円
(解答)240万円