所得税の仕組み

山林所得とは(基本用語)

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個人の収入に対して課税される所得税では、収入の性質などに応じて所得(税金をかける元となる利益)を10種類に分類し、収入の性質の違いによる不公平な課税が行われないような仕組みがとられています。
ここでは10種類の所得のうち山林所得について簡単にみていきましょう。

山林所得とは

山林所得というとどういう収入を思いうかべるでしょうか。一般的には山を売って得た収入を思いうかべるかもしれません。一概に間違いではないのですが、正確に定義づけると、山林所得とは『山林を伐採して譲渡したり、立木のままで譲渡することによって生ずる所得』をいいます。
つまり山の土地を売ったことによる収入ではなくそこに生えている木を売ったことによる収入となります。たとえば山の土地と立木とを売却した場合、立木の部分の収入だけが山林所得となります(土地の部分の代金は譲渡所得という種類の所得となります)。

立木の売ったことによる収入→山林所得
土地を売ったことによる収入→譲渡所得

なお立木の売却による収入のうち山林所得となるのは山林の保有期間が5年を超えるものとなります。保有期間が5年に満たない立木の売却収入は事業所得もしくは雑所得となります。

山林所得の計算

山林所得の計算は山林の総収入金額(立木を売却したことによる収入)から必要経費(植林費などの取得費のほか、下刈費などの育成費・維持管理のために必要な管理費・伐採費・搬出費・仲介手数料などの譲渡費用も含む)を差し引き、さらに特別控除額として最大50万円を差し引きして算定します。

山林所得=総収入金額-必要経費-特別控除額(50万円まで)

なお、立木にかかる所得税の計算は分離課税という方法(ほかの所得とは分けて、所得税の計算を行う)がとられています。
山林所得にかかる税金の計算は、以下のような5分5乗方式という方法がとられます。

山林所得にかかる税金=山林所得金額×1/5×超過累進税率×5

すなわち、山林所得の金額をいったん5で割り(5分)、5で割った金額に税率を乗じた後で今度は5を乗じる(5乗)ことになります。
超過累進税率は所得が大きくなると税率自体も高くなります。したがって税率を乗じる前に所得を5で割ることにより、引き税率を乗じることになり税額が軽減されます。

山林の育成には長年の年月を要するため、売却時に多額の売却による収入が発生してもそれば長年の苦労の結果であり、その期間を平準化して課税を考慮することが必要となるためです。

(参考にした情報:国税庁ホームページ「https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1480.htm」)

例題解説

以下の設問に正か誤を答えなさい。

山(土地と立木)を売却することによって得た所得は『山林所得』に該当する。

(解説)
山林所得とは山林を伐採して譲渡したり、立木のままで譲渡することによって得られる所得(保有期間5年超のものに限ります)をいい、土地を売却することによって得られる所得は譲渡所得に該当します

(解答)

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