リスク管理 生命保険

相互会社とは(保険会社だけの会社のカタチ)

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生命保険会社の広告などで「○○生命保険相互会社」という言葉を聞いたことは無いでしょうか?
相互会社というのは一般にはあまり聞きなれない言葉だと思います。
ではこの相互会社とはどのような会社なのでしょうか。

相互会社(そうごがいしゃ)とは、保険業法という保険業に関する免許やルールなどを定めた法律に基づいて設立された会社を言います。
保険業法に基づいて設立される会社ですので、相互会社を設立できるのは保険業を営むものに限られます。

相互会社では保険契約者を社員(ここでいう社員とは会社の持ち主のことをいい、株式会社の株主のことです。従業員ではありませんのでご注意ください)とし、社員によって構成される社員総会を意思決定機関として機能することになります。
株主ではなく保険契約者(社員)が会社の持ち主となり、会社の意思決定に参加するという点で株式会社形態の会社とはことなります(ただし、実際には数百万以上もいる保険契約者全員が参加して社員総会を開催し、会社の意思を決定することは現実的ではないため、社員のなかから総代を選出し、総代によって構成される総代会を社員総会に代わる機関として設置することが認められています)。

相互会社と株式会社との比較

保険会社の会社のカタチには相互会社のほか株式会社という形態の会社もございます。
株式会社は広く社会に存在する一般的な会社のカタチの一つですが、ここで相互会社と株式会社の特徴や違いについてまとめると次のようになります。

相互会社と株式会社
相互会社 株式会社
形態 保険業法に基づいて設立される。保険会社のみ設立可能。 会社法に基づいて設立される。業種にかかわらず設立でき、代表的な会社の形態の一つ。
構成員と意思決定機関 保険契約者が会社の持ち主(社員といいます)となり、社員総会が会社の意思を決定する(社員の中から総代が選ばれ、総代によって構成される総代会が社員総会に代わるべき機関として設けられることもある)。 会社に出資した株主が会社の持ち主となり、株主によって構成される株主総会が会社の意思を決定する(保険の契約者が会社の経営に直接参加することは無い)。
保険契約者との関係 保険契約者=社員(会社の持ち主) 保険契約者と会社との関係は契約関係(会社の取引先)

(参考条文:保険業法第18条・第42条ほか参照)

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