1.人的控除・物的控除とは
所得税は個人の1年間の所得(稼ぎ)に対して課せられる税金をいいますが、個人の稼ぎの全部が課税対象となるわけではありません。
一概に納税者といっても、みんながみんな同じような生活環境で生活しているわけではありません。たとえば独身世帯の世帯主と家族5人を養っている世帯主とでは、たとえ同じ給料をもらっていたとしても生活にかかるお金が違うため、税金を払うことができる能力(担税力ともいいます)にも差が出てきます。
またその年に本人や家族の医療費をたくさん払った場合なども税金を納めることができるだけのお金に余力がない場合もあります。
このような納税者のそれぞれの事情に配慮し、それぞれの納税者の税金を計算するうえでその状況に応じて所得から一定の金額を差し引くことが認められており、これを所得控除といいます。
所得控除には、養っている家族の人数や本人が生活するうえで最低限必要な金額などそれぞれの納税者の置かれた状況に応じて控除額が決定される人的控除と
社会保険や生命保険料・医療費などを支払った場合にその支払額などに応じて控除額が決定される物的控除とがあります。
2.人的控除と物的控除の種類
人的控除と物的控除にはそれぞれ以下のような7つの種類の控除があります。
人的控除 | 納税者本人やその家族の状況など、人の状況により控除額が決定される所得控除。
配偶者控除・配偶者特別控除・扶養控除・障がい者控除・寡婦控除(または寡夫控除)・勤労学生控除・基礎控除の7つ。 |
物的控除 | 納税者がその年に支払った金額に応じて控除額が決定される所得控除。
雑損控除・医療費控除・社会保険料控除・小規模企業共済等掛金控除・生命保険料控除・地震保険料控除・寄附金控除の7つ |