所得税では、納税者のそれぞれの事情に配慮し、納税者の税金を計算するうえでその状況に応じて所得から一定の金額を差し引くことができる制度(所得控除といます)が認められています。ここでは所得控除のうちの社会保険料控除について簡単にご説明していきます。
納税者本人やその家族などの年金や健康保険などの社会保険料を支払った時はその支払金額についてその全額を税金を計算するうえでの所得から控除することができます。これを社会保険料控除といいます。
社会保険料は納税者本人のみならず社会保障制度を維持するためにも必要なものであり、また支払いが義務となっているものであることから、これらの納税者本人の社会保険料の支払額のみならず、その家族金額の支払い額については全額を所得から控除することができます。
社会保険料の要件と控除額をまとめると次のようになります
対象者:本人または本人と生計を一にする配偶者や親族の負担すべき社会保険料を支払った者 控除額:その年に実際に支払った金額および給与や公的年金等から差し引かれた金額の全額 |
上記の通り生計を一にする配偶者や親族など(いわゆる家族)の社会保険料を支払った時も控除の対象となります。また配偶者や親族に所得制限はないため、収入がある配偶者や親族の社会保険料を支払ってあげた場合でも対象となります。
なお社会保険料控除の対象となるものには以下のようなものがあります。
1.健康保険・国民年金・厚生年金保険及び船員保険の保険料 2.国民健康保険の保険料または国民健康保険税 3.高齢者の医療の確保に関する法律の規定による保険料 4.介護保険法の規定による介護保険料 5.雇用保険の被保険者として負担する労働保険料 6.国民年金基金の加入員として負担する掛金 7.国家公務員共済組合法、地方公務員等共済組合法、私立学校教職員共済法、恩給法等の規定による掛金又は納金等 ほか |
例題解説
以下の文章について正誤を判断しなさい。
納税者が自己または自己と生計を一にする配偶者やその他の親族(配偶者やその他の親族については、その年の総所得金額等が48万円以下のものに限る)が負担すべき社会保険料を支払った場合には、その支払った金額について所得控除を受けることができます。これを社会保険料控除といいます。
(解説)
社会保険料控除は納税者本人のほか生計を一にする配偶者やその他の親族の負担すべき社会保険料を負担した場合でも控除の対象となりますが、雑損控除とは異なり配偶者や親族に所得制限はありません
(解答)誤